東京学芸大学は恥ずかしい?そう言われる理由と学生・卒業生の実態を解説
「東京学芸大学に通っているのは恥ずかしい?」
「教員にならず一般企業へ就職したら、負け組と思われる?」
東京学芸大学について調べると、「恥ずかしい」という気になる検索候補が表示されることがあります。受験を考えている高校生や保護者にとっては、大学の評判や周囲からの見られ方が気になるところでしょう。
結論からいえば、東京学芸大学への進学を恥ずかしいと感じる必要はありません。
東京学芸大学は、日本を代表する教員養成系の国立大学です。教員を目指す学生だけでなく、教育を学校外から支える仕事や、公務員、一般企業を目指す学生も学んでいます。
一方で、過去に附属学校で起きたいじめへの対応や、教職員によるハラスメントなど、大学側が批判を受けた問題があったことも事実です。そのため、「恥ずかしい」という検索語を、すべて根拠のない悪口として片づけるのも適切ではありません。
この記事では、東京学芸大学が「恥ずかしい」と検索される理由を、実際に批判されるべき問題と、大学に対する誤解に分けて解説します。
東京学芸大学は恥ずかしい大学ではない
東京学芸大学は、東京都小金井市にキャンパスを置く国立大学です。教育学部のみを設置する単科大学で、教員や教育支援者の育成を中心的な使命としています。
その歴史は1873年に設置された東京府小学教則講習所にさかのぼります。現在は文部科学省の「教員養成フラッグシップ大学」に指定され、これからの学校教育を担う教員の育成を先導する役割も担っています。
大学には、教員免許の取得を卒業要件とする「学校教育教員養成課程」と、教育を学校外から支える人材を育成する「教育支援課程」があります。
つまり、東京学芸大学は単に学校の先生を養成するだけではありません。教育、福祉、心理、ICT、生涯学習などを含め、幅広い立場から教育課題に向き合う人材を育てる大学です。
大学の規模や学部数だけを見れば、総合大学より目立ちにくいかもしれません。しかし、教育分野における専門性や歴史、社会的な役割を考えれば、「通うのが恥ずかしい大学」と評価する理由は見当たりません。
東京学芸大学が「恥ずかしい」と検索される4つの理由

東京学芸大学が「恥ずかしい」と検索される背景には、主に次の4つの理由があると考えられます。
附属学校のいじめ問題などが報道された
東京学芸大学への批判を考えるうえで、大学や附属学校で起きた問題を無視することはできません。
過去には附属高校で重大ないじめが発生し、学校側の認識や文部科学省への報告が遅れたことが問題になりました。別の附属学校でも、いじめへの対応が適切ではなかったと指摘された事例があります。
また、学生や教育実習生に対するハラスメント、労働組合への対応をめぐって、大学や教職員の姿勢が問われたこともありました。
教員や教育関係者を育てる大学であるからこそ、いじめやハラスメントへの対応には、一般の大学以上に厳しい視線が向けられます。こうした問題によって、大学のガバナンスや教育機関としての姿勢に疑問を持った人がいるのは理解できます。
ただし、大学組織の対応に対する批判と、そこで学ぶ学生個人への評価は分けて考える必要があります。不祥事があったことを理由に、在学生や卒業生まで「恥ずかしい」と決めつけるのは適切ではないでしょう。
東京学芸大学の問題点や「やばい」といわれる理由については、以下の記事で詳しく解説しています。
東京学芸大学は「やばい」のか?ネット上で「やばい」と言われている理由を考察
専攻による入試難易度の差が大きい
東京学芸大学には教育学部しかありませんが、その中には教科や教育領域に応じた多くの専攻・コースがあります。
国語、社会、数学、理科、英語などのコースがある一方、音楽、美術、保健体育、書道など、実技力も評価されるコースがあります。そのため、入試難易度を示す数値には一定の幅が生じます。
インターネット上では、大学の最も低い偏差値だけが取り上げられ、「国立大学なのに偏差値が低い」「学芸大は大したことがない」などと評価されることがあります。
しかし、実技試験を含む専攻と、一般教科を中心に評価する専攻を、偏差値だけで単純に比較することはできません。偏差値の低いコースがあるからといって、大学全体の学生の学力が低いという意味にはならないのです。
東京学芸大学の詳しい入試難易度や教員採用実績については、以下の記事で解説しています。
東京学芸大学は頭いい?偏差値・教員採用実績・就職状況から学力レベルを徹底解説
教員免許を取らない課程が誤解されている
東京学芸大学には、教員免許の取得を卒業要件としない「教育支援課程」があります。
この課程では、カウンセリング、ソーシャルワーク、生涯学習、文化、ICTなどの分野を学び、学校現場と連携しながら教育を支える人材を育成します。
前身に当たる、いわゆる「ゼロ免課程」に対しては、かつて「教員養成大学なのに教員免許を取らないのはおかしい」「国費で運営する意味があるのか」といった批判も見られました。
しかし、子どもや学校を支える仕事は教員だけではありません。
不登校、特別支援、外国人児童への支援、家庭環境の問題、ICT教育、生涯学習など、現在の教育課題は複雑になっています。教員だけですべてを担うのではなく、心理、福祉、行政、地域、民間企業などとの連携が必要です。
教育支援課程は、教員にならないための消極的な課程ではなく、学校の外側から教育を支える人材を育てる課程と考える方が実態に近いでしょう。
教員にならない卒業生が「負け組」と誤解される
東京学芸大学には、「入学したら卒業後は全員が先生になる」というイメージがあります。
しかし、実際の進路は教員だけではありません。卒業生は教員のほか、公務員、教育関連企業、IT企業、コンサルティング会社など、幅広い分野へ進んでいます。
教員養成を中心とする大学から一般企業へ就職すると、「教員採用試験に落ちたのではないか」「先生になれなかった負け組ではないか」と見られることがあります。
これは、東京学芸大学の課程や進路を十分に理解していないことから生まれる誤解です。
教育支援課程には、入学時から公務員や民間企業、NPOなどを志望する学生がいます。また、学校教育教員養成課程でも、大学で学ぶうちに自分の適性や関心が変わり、一般企業へ進む学生がいても不自然ではありません。
もちろん、教員採用試験の結果を受けて進路を変更するケースも考えられます。しかし、それだけを民間就職者全体の理由とみなすことはできません。
東京学芸大学を卒業して民間企業に進むのはもったいない?
教員になることを前提に入学した場合、途中で一般企業へ進路を変えることに対して「学んだことが無駄になるのでは」と不安を感じる人もいるでしょう。
しかし、教育学部で得られる経験のすべてが、学校でしか使えないわけではありません。
教育実習で「相手に合わせて伝える力」が身につく
教育実習では、単に人前で話せばよいわけではありません。
相手がどこまで理解しているのかを考え、説明する順序や言葉を選び、反応を見ながら伝え方を変える必要があります。この経験は、一般企業の営業、企画、研修、人材育成、顧客対応などにも応用できます。
すべての学芸大生がコミュニケーション能力に優れているとまではいえませんが、対人能力や説明力を実践的に磨く機会が多い大学であることは、民間就職でも強みになり得ます。
教員免許取得までの過程が努力の証明になる
教員免許そのものが、一般企業の採用で直接的に優遇される資格とは限りません。
一方、必要な授業を計画的に履修し、教育実習や課題に取り組んだ経験は、自己管理力や継続力を伝える材料になります。
就職活動では、「教員免許を持っているから有利」と考えるよりも、取得する過程で何を学び、どのような能力を身につけたのかを説明することが重要です。
教育実習やボランティア経験を具体的に語れる
一般企業の採用選考では、学生時代に力を入れたこと、いわゆる「ガクチカ」が聞かれます。
教育実習や学習支援、子どもと関わるボランティアなどの経験は、課題に直面したときの考え方や、周囲との協働について具体的に語りやすい題材です。
ただし、経験しただけで自動的に高く評価されるわけではありません。「どのような課題があり、自分がどう考えて行動したのか」を整理して伝える必要があります。
「なぜ教員ではなく民間企業なのか」の説明が必要
教員免許を取得する予定の学生が一般企業を受ければ、「なぜ教員ではなく当社を志望するのか」と聞かれる可能性があります。
ここで、「教員が嫌になった」「採用試験が不安だから」と答えるだけでは、志望動機が弱く見えるでしょう。
一方で、教育実習を通じて感じた課題を民間企業のサービスで解決したい、より広い立場から人材育成に携わりたい、教育とテクノロジーを組み合わせた仕事がしたいなど、大学での学びと志望先を結びつけられれば、進路選択に説得力が生まれます。
学芸大生は実際に大学を恥ずかしいと思っている?
在学生や卒業生の声を見ると、東京学芸大学で学ぶことを「恥ずかしい」と感じている人が多いとは考えにくいでしょう。
むしろ、大学生活が楽しい、学芸大が好き、真面目で落ち着いた学生が多いといった肯定的な声が見られます。
東京学芸大学には、教員や教育に関心を持って入学した学生が多いため、目指す方向が比較的近い仲間と出会いやすい環境があります。教育実習やボランティア、附属学校での実践などを通して、共通の関心を持つ学生同士が交流できることも特徴です。
また、家族や学校の先生からは、国立の教員養成大学として肯定的に受け止められることが多いと考えられます。同世代からも「将来は先生になるの?」と聞かれることはあっても、大学名を理由に否定的な反応をされるケースが一般的とはいえません。
もちろん、学生の満足度や大学への愛着には個人差があります。「在学生は全員、大学を誇りに思っている」と断定することはできません。
それでも、検索画面に表示される「恥ずかしい」という言葉と、実際の学生生活との間には、大きな温度差があると考えられます。
東京学芸大学ならではの魅力

「恥ずかしい」という検索語だけでは見えてこない、東京学芸大学の特徴も確認しておきましょう。
教員養成に特化した学習環境がある
東京学芸大学は教育学部のみの単科大学です。総合大学のような学部の多様性はありませんが、その分、教育を中心とした学習・研究環境が集約されています。
教員、心理、福祉、教育行政、ICTなど、教育を複数の角度から考えられることが特徴です。
12の附属学校・園がある
東京学芸大学には、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、国際中等教育学校、特別支援学校など、合計12の附属学校・園があります。
附属学校・園は教育実習の場であるだけでなく、新しい教育方法を研究・実践する場でもあります。学生にとっては、講義で学んだ内容を実際の教育現場と結びつける機会になります。
教員以外にも教育を支える進路がある
教育に関心があっても、必ずしも学校の教員になる必要はありません。
教育行政、児童福祉、学習支援、教材開発、EdTech、人材育成など、教育に関わる仕事は多様化しています。教育支援課程がある東京学芸大学は、こうした進路を考える学生にも適した大学です。
東京学芸大学が向いている人
東京学芸大学は、次のような人に向いていると考えられます。
- 小学校・中学校・高等学校などの教員を目指している人
- 教育や子どもの発達について専門的に学びたい人
- 心理、福祉、ICTなどの立場から学校を支えたい人
- 教育実習やボランティアなど、実践的な学習に取り組みたい人
- 将来は公務員や教育関連企業で働きたい人
- 落ち着いた環境で、共通の目標を持つ仲間と学びたい人
一方、教育分野にほとんど関心がなく、幅広い学問から入学後に専攻を決めたい人には、総合大学の方が合っている可能性があります。
大学名の評判だけで選ぶのではなく、東京学芸大学の専門性と自分の関心が一致しているかを確認することが大切です。
東京学芸大学に関するよくある質問
東京学芸大学はFラン大学ですか?
東京学芸大学は国立大学であり、一般的にFラン大学には該当しません。専攻によって入試科目や難易度に差があり、実技を重視するコースもあるため、最低偏差値だけで大学全体を評価することはできません。
東京学芸大学への進学は恥ずかしいですか?
恥ずかしいと感じる必要はありません。東京学芸大学は長い歴史を持つ国立の教員養成大学で、文部科学省の教員養成フラッグシップ大学にも指定されています。
東京学芸大学は頭がいい大学ですか?
専攻によって難易度は異なりますが、共通テストと個別試験を突破する必要がある国立大学です。詳しい偏差値や他大学との比較については、関連記事で解説しています。
東京学芸大学に入ると全員が教員になりますか?
全員が教員になるわけではありません。学校の教員になる卒業生に加え、公務員、教育関連企業、IT、コンサルティングなどへ進む学生もいます。
教員にならない学芸大生は負け組ですか?
教員にならないことだけを理由に「負け組」と評価するのは適切ではありません。教育支援課程には、当初から公務員や一般企業、NPOなどを目指す学生もいます。学校外から教育に関わる仕事も増えています。
東京学芸大学から一般企業へ就職できますか?
一般企業への就職は可能です。教育関連企業だけでなく、IT、コンサルティング、サービスなど幅広い業界への就職実績があります。ただし、企業や職種によって選考基準は異なるため、大学名だけで就職が決まるわけではありません。
教員免許は一般企業への就職に有利ですか?
教員免許そのものが直接的に優遇されるとは限りません。一方で、免許取得に向けた継続的な学習、教育実習、対人経験などは、自己管理力や説明力を示す材料になります。
教員免許を取らない課程もありますか?
教育支援課程では、教員免許の取得が卒業要件ではありません。心理、福祉、ICT、生涯学習などを通じ、学校や教育を支援する人材の育成を目的としています。
東京学芸大学と学習院大学は関係がありますか?
名称が似ていると感じる人もいますが、両大学に直接的な関係はありません。東京学芸大学は国立の教員養成系大学、学習院大学は複数の学部を持つ私立大学です。
東京学芸大学の学生は真面目ですか?
真面目で落ち着いた学生が多いという評判はあります。ただし、学生の性格は一人ひとり異なるため、大学に在籍する全員に当てはまるわけではありません。
まとめ:東京学芸大学は恥ずかしい?そう言われる理由と学生・卒業生の実態を解説
東京学芸大学が「恥ずかしい」と検索される背景には、複数の要因があります。
附属学校でのいじめ対応や教職員のハラスメントなど、大学側が真摯に受け止め、改善すべき問題があったことは否定できません。教育を担う人材を育てる大学だからこそ、組織には高い倫理観と説明責任が求められます。
一方で、専攻ごとの入試難易度の違いや、教員免許を必須としない教育支援課程、一般企業へ進む卒業生については、大学の仕組みや進路を十分に理解しないまま否定的に語られている面があります。
教員以外の道を選んだからといって、「教員になれなかった」「負け組」と決めつけることはできません。教育実習や免許取得の過程で培った説明力、対人能力、自己管理力は、一般企業や公務員などでも生かすことができます。
大学組織に対する批判と、そこで真面目に学ぶ学生の価値は別の問題です。
東京学芸大学は、教員を目指す人はもちろん、心理、福祉、ICT、行政、民間企業などの立場から教育を支えたい人にとっても、有力な進学先の一つです。
インターネット上の「恥ずかしい」という一語だけで判断せず、自分が学びたい内容や将来の進路と合っているかを基準に大学を選びましょう。
出典一覧
- 東京学芸大学「大学概要2025」
大学の沿革、教育目的、課程、附属学校・園、教育支援職の育成など - 東京学芸大学「大学案内2027」
学校教育教員養成課程・教育支援課程の特徴、取得できる免許・資格、学びの内容など - 文部科学省「教員養成フラッグシップ大学とは」
東京学芸大学を含む指定大学と、教員養成フラッグシップ大学の取り組み - 東京学芸大学学生キャリア支援室「就職・進学に関するデータ」
卒業生の教員、企業・団体、公務員、大学院進学などの進路状況 - 東京学芸大学学生キャリア支援室「2024年3月卒業生就職・進学状況」
教員養成課程・教育支援課程別の具体的な進路人数 - 東京学芸大学「調査報告書(概要版)」
附属学校で発生したいじめ重大事態への対応と、大学・附属学校のガバナンス上の課題 - 東京学芸大学「本学附属高等学校に関して報道されている事案について」
附属高校のいじめ重大事案に関する報告の遅れと、関係職員の処分内容 - 東京学芸大学「平成31事業年度に係る業務の実績報告書」
附属高校のいじめ事案を受けたガバナンス強化と再発防止の取り組み - 弁護士ドットコムニュース「東京学芸大でアカハラ」
学生へのアカデミック・ハラスメントを理由とする教員の懲戒処分 - 東京学芸大学公式メディア・edumotto「教育支援職のキャリア」
教育支援課程から大学院や民間企業へ進んだ卒業生のキャリア事例
※在学生の大学への愛着や学生の雰囲気に関する記述は、個人の口コミや体験談を踏まえた傾向であり、学生全体に当てはまるものではありません。

私は、新卒から約20年大手大学受験予備校の職員として働いておりました。現役生や浪人生、国公立医学部を受験する生徒から私立文系を受験する生徒まで、数千名の生徒と向き合ってきました。受験校の相談や学習方法の相談、受験勉強の息抜きなどさまざまな相談、時には生徒から教えてもらうことも。今までの経験を少しでも受験生に役立つ情報をお届けできたらと思っています。

コメント