私立歯学部の偏差値はなぜ下がった?95年・01年・26年ランキングで見る変化
かつて私立歯学部は、医学部に次ぐ難関資格系学部として見られていました。
1990年代の私立歯学部を見ると、多くの大学が偏差値50台に位置しており、現在の感覚で見るとかなり高い難易度だったことがわかります。
しかし、2026年度入試の偏差値を見ると、私立歯学部の難易度は大きく変化しています。
上位校は一定の人気を保っている一方で、下位校では偏差値35.0前後まで下がっている大学もあり、私立歯学部全体で二極化が進んでいます。
本記事では、1995年・2001年・2026年度の私立歯学部偏差値ランキングを比較しながら、なぜ私立歯学部の偏差値がここまで下がったのか、そして近年なぜ再評価の動きが出ているのかを解説します。
※1995年・2001年の偏差値は、歯学部受験情報サイト「最受験.com 歯学部Wiki」に掲載されている「歯学部の過去の偏差値」をもとに作成しています。
現在の偏差値は、河合塾が公表している2026年度入試用のボーダー偏差値を参考にしています。
なお、過去偏差値と現在偏差値は、模試の母集団や算出基準が完全に同一ではない可能性があります。
そのため、本記事では厳密な同一条件での比較ではなく、私立歯学部の難易度や人気の大まかな推移を把握するための参考データとして扱います。
過去偏差値については、最受験.comの「歯学部の過去の偏差値」に2001年・1995年などの項目が掲載されています。
私立歯学部の偏差値ランキング【2026年度】
まず、現在の私立歯学部の偏差値ランキングを見てみましょう。
| 順位 | 大学名 | 偏差値 |
|---|---|---|
| 1位 | 東京歯科大学 | 52.5 |
| 2位 | 昭和大学 | 50.0 |
| 2位 | 日本大学 | 50.0 |
| 4位 | 大阪歯科大学 | 45.0 |
| 4位 | 日本歯科大学 生命歯学部 | 45.0 |
| 4位 | 朝日大学 | 45.0 |
| 7位 | 岩手医科大学 | 42.5 |
| 8位 | 明海大学 | 40.0 |
| 8位 | 日本歯科大学 新潟生命歯学部 | 40.0 |
| 10位 | 北海道医療大学 | 37.5 |
| 10位 | 奥羽大学 | 37.5 |
| 10位 | 日本大学 松戸歯学部 | 37.5 |
| 10位 | 鶴見大学 | 37.5 |
| 10位 | 愛知学院大学 | 37.5 |
| 15位 | 神奈川歯科大学 | 35.0 |
| 15位 | 松本歯科大学 | 35.0 |
| 15位 | 福岡歯科大学 | 35.0 |
現在の私立歯学部では、東京歯科大学、昭和大学、日本大学が上位に位置しています。
一方で、偏差値35.0〜40.0前後の大学も多く、私立歯学部全体としては、かつてより入りやすくなっていることがわかります。
ただし、偏差値が低いからといって、卒業や国家試験が簡単という意味ではありません。歯学部は6年制であり、進級、卒業試験、歯科医師国家試験までを突破する必要があります。
2001年の私立歯学部偏差値ランキング

次に、2001年の私立歯学部偏差値ランキングを見てみます。
| 順位 | 大学名 | 偏差値 |
|---|---|---|
| 1位 | 愛知学院大学 | 59 |
| 2位 | 大阪歯科大学 | 57 |
| 2位 | 日本大学 | 57 |
| 4位 | 昭和大学 | 55 |
| 4位 | 日本歯科大学 | 55 |
| 6位 | 朝日大学 | 54 |
| 6位 | 日本大学 松戸歯学部 | 54 |
| 6位 | 明海大学 | 54 |
| 9位 | 東京歯科大学 | 53 |
| 9位 | 北海道医療大学 | 53 |
| 11位 | 岩手医科大学 | 52 |
| 11位 | 福岡歯科大学 | 52 |
| 13位 | 奥羽大学 | 51 |
| 13位 | 神奈川歯科大学 | 51 |
| 13位 | 日本歯科大学 新潟 | 51 |
| 16位 | 鶴見大学 | 50 |
| 17位 | 松本歯科大学 | 49 |
2001年時点では、私立歯学部のほとんどが偏差値50前後以上でした。
特に愛知学院大学は偏差値59でトップに位置しており、大阪歯科大学、日本大学、昭和大学、日本歯科大学なども高い難易度を保っていました。
現在の偏差値と比較すると、私立歯学部全体の受験難易度が大きく下がったことがわかります。
1995年の私立歯学部偏差値ランキング
さらに、1995年のランキングも見てみましょう。
| 順位 | 大学名 | 偏差値 |
|---|---|---|
| 1位 | 日本大学 | 56 |
| 1位 | 大阪歯科大学 | 56 |
| 3位 | 東京歯科大学 | 55 |
| 3位 | 昭和大学 | 55 |
| 3位 | 日本大学 松戸歯学部 | 55 |
| 3位 | 愛知学院大学 | 55 |
| 3位 | 福岡歯科大学 | 55 |
| 8位 | 北海道医療大学 | 54 |
| 8位 | 朝日大学 | 54 |
| 10位 | 岩手医科大学 | 53 |
| 10位 | 明海大学 | 53 |
| 12位 | 日本歯科大学 | 51 |
| 12位 | 神奈川歯科大学 | 51 |
| 12位 | 松本歯科大学 | 51 |
| 15位 | 奥羽大学 | 50 |
| 15位 | 日本歯科大学 新潟 | 50 |
| 17位 | 鶴見大学 | 49 |
1995年の私立歯学部は、ほぼすべての大学が偏差値50前後にありました。
現在のように偏差値35.0〜40.0の大学が目立つ状況とは大きく異なります。
この時代は、歯科医師という職業に対する社会的評価が高く、「歯学部に進学すれば安定した専門職に就ける」というイメージが強かった時代です。
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大学別に見る偏差値の推移
1995年、2001年、2026年度の偏差値を大学別に比較すると、変化がよりわかりやすくなります。
| 大学名 | 1995年 | 2001年 | 2026年度 |
|---|---|---|---|
| 東京歯科大学 | 55 | 53 | 52.5 |
| 昭和大学 | 55 | 55 | 50.0 |
| 日本大学 | 56 | 57 | 50.0 |
| 大阪歯科大学 | 56 | 57 | 45.0 |
| 日本歯科大学(東京) | 51 | 55 | 45.0 |
| 朝日大学 | 54 | 54 | 45.0 |
| 岩手医科大学 | 53 | 52 | 42.5 |
| 明海大学 | 53 | 54 | 40.0 |
| 日本歯科大学 新潟 | 50 | 51 | 40.0 |
| 北海道医療大学 | 54 | 53 | 37.5 |
| 日本大学 松戸歯学部 | 55 | 54 | 37.5 |
| 愛知学院大学 | 55 | 59 | 37.5 |
| 奥羽大学 | 50 | 51 | 37.5 |
| 鶴見大学 | 49 | 50 | 37.5 |
| 神奈川歯科大学 | 51 | 51 | 35.0 |
| 松本歯科大学 | 51 | 49 | 35.0 |
| 福岡歯科大学 | 55 | 52 | 35.0 |
この表を見ると、ほとんどの私立歯学部で偏差値が大きく低下していることがわかります。
特に、1995年や2001年には偏差値50台だった大学が、現在では偏差値30台後半から40台前半になっているケースも少なくありません。
一方で、東京歯科大学は現在も52.5を維持しており、私立歯学部の中では安定した上位校といえます。
昭和大学、日本大学も偏差値50.0を維持しており、上位校と下位校の差が大きくなっていることがわかります。
私立歯学部の偏差値はなぜ下がったのか?
私立歯学部の偏差値が下がった理由は、単なる人気低下だけではありません。
背景には、歯科医師数の増加、高額な学費、国家試験の難化、留年リスク、入試方式の変化など、複数の構造的な要因があります。
1. 歯科医師の供給過剰と競争激化
まず大きいのが、歯科医師数の増加です。
かつて歯科医師不足が懸念された時代には、歯学部の新設や定員増が進められました。その結果、長期的には歯科医師数が増え、歯科医院同士の競争が激しくなりました。
厚生労働省の有識者検討会では、歯科医師の需給問題について議論が行われており、2016年時点の推計では、一定の条件下で将来的に歯科医師が過剰になる可能性が示されました。
このような状況により、「歯科医師になれば将来は安泰」「開業すれば高収入」というかつてのイメージは弱まりました。
また、子どもの虫歯が昔に比べて減少していること、都市部を中心に歯科医院が過密化していることも、歯科医師という職業の将来性を慎重に見る要因になったと考えられます。
2. 高額な学費と費用対効果への不安
私立歯学部は6年制であり、学費も高額です。
大学によって差はありますが、6年間で2,000万円台から3,000万円台の学費が必要になるケースが多く、一般家庭にとっては非常に大きな負担です。
一方で、歯科医師の収入は医師と比較すると低く見られることが多く、特に勤務歯科医の段階では、学費に見合うリターンをすぐに得にくい場合もあります。
そのため、受験生や保護者の間で「高い学費を払ってまで歯学部に進学する価値があるのか」という費用対効果への不安が広がりました。
結果として、歯学部志望者は、親が歯科医院を経営している家庭や、将来的に医院を継ぐ予定のある受験生などに偏りやすくなった面もあります。
3. 107回ショックによる国家試験リスクの顕在化
私立歯学部の人気低下に大きな影響を与えたのが、歯科医師国家試験の難化です。
特に象徴的なのが、2014年に実施された第107回歯科医師国家試験です。
第106回試験では全体の合格率が71.2%、合格者数が2,366人でした。
ところが、第107回試験では合格率が63.3%、合格者数が2,025人まで低下しました。わずか1年で合格率は約8ポイント下がり、合格者数も300人以上減少したことになります。
厚生労働省資料でも、第107回の合格率63.3%、合格者数2,025人が確認できます。
| 回数 | 実施年 | 合格率 | 合格者数 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 第106回 | 2013年 | 71.2% | 2,366人 | 70%台の合格率 |
| 第107回 | 2014年 | 63.3% | 2,025人 | 合格率・合格者数が大幅低下 |
この変化は、歯学部受験界に大きな衝撃を与えました。
それまでの歯科医師国家試験には、「歯学部に入学してきちんと勉強すれば、多くの学生が歯科医師になれる」というイメージがありました。
しかし、第107回をきっかけに、「歯学部に入っても国家試験に合格できるとは限らない」というリスクが強く意識されるようになりました。
この出来事は、いわゆる「107回ショック」と呼ばれ、私立歯学部の志願者減少や偏差値低下に大きな影響を与えたと考えられます。
4. 留年・卒業試験の厳格化
国家試験が難しくなると、大学側も合格率を維持するために、進級判定や卒業試験を厳しくする傾向が強まります。
歯科医師国家試験の合格率は、各大学の評価や受験生からの人気に直結します。
そのため、国家試験に合格する見込みが低い学生を、進級判定や卒業試験の段階で厳しく判定する大学もあります。
その結果、歯学部では「留年リスクが高い」というイメージが定着しました。
近年は、単年度の国家試験合格率だけでなく、入学から6年間で卒業し、そのまま国家試験に合格できるかを示す「ストレート合格率」も重視されています。
受験情報サイトでは、文部科学省・厚生労働省の公表データをもとに、私立歯学部の6年修了率やストレート合格率が分析されており、私立歯学部の6年修了率は47.4%と整理されています。
つまり、現在の歯学部選びでは、「入れる大学」かどうかだけでなく、「6年間で卒業し、国家試験に合格できる大学」かどうかが非常に重要になっています。
5. 推薦入試・総合型選抜の拡大による見かけの偏差値低下
私立歯学部の偏差値が下がった理由として、入試方式の変化も見逃せません。
近年、多くの私立大学では、推薦入試や総合型選抜の比重が高まっています。これは歯学部も同じです。
推薦入試や総合型選抜で早い段階から学生を確保する大学が増えると、一般選抜を受ける受験生の数は少なくなります。その結果、一般選抜の倍率が下がり、予備校が公表するボーダー偏差値も低く出やすくなります。
つまり、現在の偏差値だけを見ると「かなり入りやすい」と見える大学でも、実際には推薦・総合型選抜で一定数の学生を確保しており、一般選抜の偏差値が実態以上に低く見えている可能性があります。
この点は、私立歯学部の偏差値を見るうえで注意が必要です。
6. 医学部との比較でキャリアパスが限定的に見られやすい
歯学部は、歯科医師という明確な国家資格につながる学部です。
その一方で、医学部と比較すると、学ぶ分野や将来のキャリアが口腔領域に限定されていると見られやすい面があります。
医学部の場合、内科、外科、小児科、精神科、放射線科、救急医療など、卒業後の専門分野が非常に幅広く用意されています。
一方、歯学部は基本的に歯科医師を目指す学部であり、将来像が比較的はっきりしている反面、進路の選択肢が狭いと感じる受験生もいます。
そのため、高い学力を持つ受験生の中には、歯学部ではなく医学部、薬学部、獣医学部、理工系、情報系などを選ぶケースもあります。
このようなキャリア選択の変化も、歯学部の偏差値が相対的に下がった一因と考えられます。
禁忌肢・スーパーX問題とは?歯科医師国家試験が難しい理由

歯科医師国家試験の難しさを語るうえで、かつてよく使われてきた用語に「禁忌肢」と「スーパーX問題」があります。
禁忌肢とは、患者に重大な不利益を与える対応、緊急時の明らかに誤った処置、法律や職業倫理に反する行為などを含む選択肢のことです。
医療系国家試験では、単に知識があるかどうかだけでなく、「絶対に選んではいけない対応を避けられるか」も重要になります。
歯科医師は患者の身体に直接処置を行う職業であるため、危険な判断や倫理的に問題のある対応を選ばない力が求められます。
一方、スーパーX問題とは、5つの選択肢の中から正しいものをすべて選ぶ形式の問題を指します。
通常の「正しいものを1つ選べ」「2つ選べ」という問題とは違い、正解の数があらかじめ示されないため、すべての選択肢について正誤を判断する必要があります。
そのため、あいまいな知識では対応しにくく、受験生にとって負担の大きい形式でした。
ただし、近年の歯科医師国家試験では、こうした形式そのものよりも、臨床実地問題や必修問題、領域別の基準などを通じて、実際の診療で必要な判断力や安全性が問われるようになっています。
第118回歯科医師国家試験では、全体の合格率は70.3%、新卒者の合格率は84.0%でした。
合格基準も、領域A、領域B、必修問題などに分けて示されています。
つまり、歯科医師国家試験は、暗記量だけで乗り切る試験ではありません。
知識に加えて、臨床現場での判断力、患者安全、倫理観、高齢者医療や多職種連携への理解などが求められる試験へと変化しているといえます。
国も歯科医師の需給バランスを見直している
私立歯学部の偏差値低下を考えるうえでは、国の政策も無視できません。
歯科医師の過剰供給が問題視されるなかで、厚生労働省や文部科学省は、歯科医師の数と質の両面から見直しを進めてきました。
主な対策は、大きく分けて2つあります。
1つ目は、歯学部の入学定員の見直しです。
文部科学省は、医学部・歯学部に関するデータや取組を公表しており、歯学部歯学科についても入学定員、入学状況、国家試験結果などを整理しています。
これにより、各大学の入学者確保の状況や国家試験実績が可視化されるようになっています。
2つ目は、歯科医師国家試験の見直しです。
厚生労働省は「歯科医師の資質向上等に関する検討会」を設置し、歯科医師の資質向上や需給問題について継続的に議論してきました。
つまり、歯学部は入口である入学定員と、出口である国家試験の両面から見直しが進められてきたといえます。
その結果、歯学部進学はかつてのように「入学すればほぼ歯科医師になれる」という単純な進路ではなくなりました。
現在は、入学後の進級、臨床実習、卒業試験、国家試験までを見据えて大学を選ぶ必要があります。
ただし近年は私立歯学部人気が回復傾向にある
ここまで見ると、私立歯学部は1990年代から現在にかけて偏差値が大きく低下してきたように見えます。
しかし、近年の入試動向を見ると、私立歯学部の人気は底打ちしつつある可能性があります。
背景にあるのは、学費の見直し、国家試験合格率の改善、そしてAI時代における専門職としての再評価です。
特に注目されるのが、私立歯学部の定員充足率の改善です。
文部科学省の資料では、令和7年度の私立大学歯学部全体の入学定員は1,828人、入学者数は1,677人で、定員充足率は91.7%となっています。
前年の84.0%から大きく改善しており、私立歯学部全体としては回復傾向が見られます。
もちろん、すべての大学が一気に人気化しているわけではありません。
しかし、長年続いてきた「私立歯学部離れ」が、学費改定や国家試験合格率の改善によって、少しずつ変化している可能性があります。
学費値下げで私立歯学部は再評価されている

近年、私立歯学部では大規模な学費値下げが相次いでいます。
代表例が、日本歯科大学新潟生命歯学部です。
同学部の6年間の学費は2,100万円とされ、東京の生命歯学部より1,000万円以上低い水準になっています。
また、朝日大学や明海大学では、初年度授業料を引き下げるなど、学費負担を軽くする動きが見られます。
こうした学費見直しは、私立歯学部の志願者回復や定員充足率改善の一因になっている可能性があります。
私立医学部の学費が非常に高額であることを考えると、歯学部は「比較的低い学費で医療系国家資格を目指せる進路」として再評価される余地があります。
ただし、学費値下げがそのまま偏差値の大幅上昇につながるとは限りません。
歯学部は医学部とは異なり、医師を目指す大きな志願者層がそのまま流入するわけではありません。また、国家試験合格率、ストレート卒業率、将来の収入、開業環境などを慎重に見る受験生も多くいます。
そのため、今回の学費値下げは、ブランド力向上のための攻めの施策であると同時に、定員割れを防ぎ、大学経営を安定させるための生き残り戦略という側面もあります。
今後は、学費が抑えられているだけでなく、国家試験対策や臨床教育、卒業後のキャリア支援が充実している大学に人気が集まり、私立歯学部内の二極化がさらに進む可能性があります。
AI時代に歯科医師は再評価されるのか?
近年、AIの進化によって多くの職業が影響を受けるといわれています。
その中で、歯科医師はAIに完全代替されにくい専門職として再評価される可能性があります。
歯科医師は国家資格に基づく専門職であり、診断だけでなく、口腔内での細かな手技や患者対応が必要です。
治療では、患者ごとの口腔状態、痛み、噛み合わせ、生活習慣、全身疾患などを総合的に判断する必要があります。
もちろん、AIは画像診断支援、治療計画、患者説明、事務作業などで歯科医療を支援する存在になるでしょう。
しかし、実際に患者の口腔内で治療を行う手技そのものは、すぐにAIだけで置き換えられるものではありません。
そのため、歯科医師はAIを使いこなすことで、むしろ仕事の質を高められる職業ともいえます。
今後は、従来型の虫歯治療だけでなく、予防歯科、審美歯科、インプラント、訪問歯科、高齢者の口腔ケア、摂食嚥下支援など、歯科医師が活躍できる領域はさらに広がる可能性があります。
私立歯学部は今後どうなる?
今後の私立歯学部は、さらに二極化が進むと考えられます。
東京歯科大学、昭和大学、日本大学、大阪歯科大学などの上位校は、偏差値、国家試験合格率、ブランド力、臨床教育の面で引き続き人気を維持しやすいでしょう。
一方で、偏差値が低く、定員確保に苦戦し、国家試験合格率や進級率に課題を抱える大学は、今後も厳しい状況が続く可能性があります。
ただし、近年は学費値下げや教育体制の見直しによって、下位校や地方校にも巻き返しのチャンスが出てきています。
受験生にとって重要なのは、偏差値だけで大学を選ばないことです。
私立歯学部を選ぶ際には、以下のような点を必ず確認する必要があります。
| 確認項目 | 見るべきポイント |
|---|---|
| 学費 | 6年間の総額、特待生制度、留年時の追加負担 |
| 国家試験合格率 | 新卒合格率だけでなく既卒を含む全体合格率も確認 |
| ストレート合格率 | 6年間で卒業し、そのまま国試に合格できる割合 |
| 進級の厳しさ | 留年率、卒業試験の難易度 |
| 臨床教育 | 附属病院、患者数、実習環境 |
| 立地 | 実家から通えるか、生活費はどれくらいか |
| 将来設計 | 勤務医、開業、親の医院継承、専門分野 |
特に私立歯学部は、入学後にかかる費用が大きいため、入試難易度だけでなく、卒業までの現実的なリスクを見ておくことが大切です。
まとめ:私立歯学部の偏差値はなぜ下がった?95年・01年・26年ランキングで見る変化
1995年や2001年の私立歯学部は、多くの大学が偏差値50台に位置していました。
しかし、2026年度入試では、上位校を除く多くの私立歯学部で偏差値が大きく下がっています。
その背景には、歯科医師の供給過剰、高額な学費、国家試験の難化、留年リスク、推薦入試の拡大、キャリア選択の変化など、さまざまな要因があります。
特に、2014年の第107回歯科医師国家試験は大きな転換点でした。合格率と合格者数が大きく下がったことで、「歯学部に入ればほぼ歯科医師になれる」というイメージは崩れ、歯学部進学のリスクが強く意識されるようになりました。
一方で、近年は学費値下げ、定員充足率の改善、国家試験合格率の回復、AI時代における専門職としての再評価など、私立歯学部に追い風となる要素も出てきています。
つまり、私立歯学部は単純に「人気がなくなった学部」ではありません。
長期的には偏差値が大きく下がったものの、近年は底打ちし、再評価の局面に入りつつある学部といえます。
今後は、偏差値だけでなく、学費、国家試験合格率、ストレート卒業率、臨床教育、将来のキャリアまで含めて、総合的に大学を選ぶ時代になっていくでしょう。
出典一覧
本記事は、以下の資料・サイトを参考に作成しています。
・最受験.com 歯学部Wiki「歯学部の過去の偏差値」
1995年・2001年の私立歯学部偏差値データの参考資料として使用。
・河合塾 Kei-Net「入試難易予想ランキング表」
2026年度入試における私立歯学部のボーダー偏差値の参考資料として使用。
・文部科学省「医学部・歯学部に関するデータ・取組」
歯学部の入学定員、入学状況、国家試験結果、定員充足率などの確認資料として使用。
・厚生労働省「歯科医師国家試験の合格発表・合格基準関連資料」
歯科医師国家試験の合格率、合格者数、合格基準、学校別合格状況などの確認資料として使用。
・厚生労働省「歯科医師の資質向上等に関する検討会」
歯科医師の需給問題、歯科医師数の適正化、歯学教育・国家試験のあり方に関する議論の確認資料として使用。
※1995年・2001年の偏差値と、2026年度の河合塾ボーダー偏差値は、模試の母集団や算出基準が完全に同一とは限りません。そのため、本記事では厳密な同一条件での比較ではなく、私立歯学部の難易度や人気の大まかな推移を把握するための参考情報として扱っています。

私は、新卒から約20年大手大学受験予備校の職員として働いておりました。現役生や浪人生、国公立医学部を受験する生徒から私立文系を受験する生徒まで、数千名の生徒と向き合ってきました。受験校の相談や学習方法の相談、受験勉強の息抜きなどさまざまな相談、時には生徒から教えてもらうことも。今までの経験を少しでも受験生に役立つ情報をお届けできたらと思っています。

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