赤本はいつから買う?受験校の赤本は全部必要?迷う受験生への答え
大学受験を意識し始めると、必ず耳にするのが「赤本」。
しかし、いざ買おうと思うと「まだ早いのでは?」「志望校が変わるかもしれない」「どの大学の分まで買えばいい?」と迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。
本記事では、赤本をいつ買うべきか、どの大学の赤本を買うべきか、そして購入後の活用法までを、受験の流れに沿って解説します。
赤本とは?発売時期と種類を知っておこう
「赤本」は正式名称を『大学入試シリーズ』といい、教学社が発行する大学別過去問題集の通称です。
多くの大学では、過去5年分ほどの入試問題と詳しい解説が収録されており、受験生にとって最も信頼できる「傾向分析教材」となっています。
赤本の発売時期は毎年夏~秋ごろ。
新年度に向けて、夏以降に最新版が順次書店に並びます。
また、大学ごとの赤本のほかに、共通テスト用の「青本」や「共通テスト過去問集」もあります。
国公立志望の人は、赤本と共に共通テスト対策本もチェックしておくとよいでしょう。
赤本を買うベストタイミングは「夏〜秋」

最初に結論からお伝えします。
赤本を買うベストなタイミングは、高3の夏〜秋です。
この時期になると、志望校がある程度固まり、共通テスト・模試を通して自分の学力レベルも把握できてきます。
また、夏以降は各大学の最新年度版が店頭に並ぶため、「最も新しい傾向」を反映した問題集を手に入れることができます。
一方で、春から夏の早い段階で買う人もいます。
それは「志望校対策を早く始めたい」「モチベーションを上げたい」という前向きな理由からです。
では、実際に早めに買う場合と遅めに買う場合、それぞれのメリットと注意点を整理してみましょう。
早めに買う派のメリット・デメリット

早めに買う派(高3春〜初夏)の特徴:
- 「早く志望校対策を始めたい」
- 「どんな問題が出るかを先に知りたい」
- 「赤本を見てモチベーションを上げたい」
メリット
- 出題傾向を早く把握できる
早い段階で問題のレベルや出題形式を知ることで、効率的な勉強計画を立てやすくなります。 - 目標意識が明確になる
実際の問題を見ることで「この大学に合格したい」という意欲が高まり、日々の学習の方向性が定まります。 - 勉強の優先順位をつけやすい
例えば、英語長文が多い大学なら英語重視、数学が難問揃いなら数IIIを重点的に、など戦略を立てやすくなります。
デメリット
- 志望校が変わると、買った赤本が無駄になる可能性。
- 基礎が固まっていない時期に難問を見ても理解が追いつかず、焦りや自信喪失につながることも。
したがって、「早めに買う」場合は、傾向をつかむ目的でざっと目を通す程度にとどめ、演習は夏以降に始めるのが理想です。
遅めに買う派のメリット・デメリット
遅めに買う派(夏〜秋以降)の特徴:
- 「志望校が決まってから買いたい」
- 「最新版が出てからで十分」
- 「基礎が固まってから解きたい」
メリット
- 最新版の赤本が手に入る
前年の出題傾向や変更点を反映した最新版を使えるため、最も信頼性が高い。 - 無駄な出費を防げる
志望校を確定してから買うことで、不要な赤本を買わずに済みます。 - 実戦演習に最適なタイミング
夏〜秋は、基礎が完成し応用問題にも取り組める時期。過去問演習の効果が出やすい。
デメリット
- 書店で売り切れることがある。
- 買うのが遅れすぎると、演習時間が不足する可能性。
- 秋以降は模試や出願準備で忙しくなり、過去問対策に十分な時間を取れないことも。
よって、遅めに買う場合でも、9〜10月には入手しておくのが理想的です。
受験校の赤本は全部買うべき?

「第一志望校はもちろん買うとして、併願校まで全部買う必要があるの?」
――これは受験生が非常によく抱く疑問です。
第一志望校は絶対に買うべき
これは迷う余地がありません。
過去問を通じて出題傾向を徹底的に把握し、時間配分・形式・出題分野を分析することで、他の受験生に差をつけられます。
併願校は“似た傾向”の大学を優先
すべての併願校の赤本を買う必要はありません。
MARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)や関関同立(関西・関西学院・同志社・立命館)などの人気大学群は、第一志望または第一併願校として受験する人が多く、それぞれの大学で出題傾向が異なるため、できれば個別に赤本を用意しておくと安心です。
一方で、併願校のすべてを揃えるのは現実的ではありません。
出題科目や形式が似ている大学を代表して1〜2校分を選び、他校の傾向把握にも活用するのがおすすめです。
特に英語・国語・社会などの共通科目では、問題形式に大きな共通点が見られることもあります。
また、赤本を買わなくても過去問を解く方法はあります。
たとえば、
- パスナビ などの進学情報サイトでは、大学によっては過去問が公開されています
- 大学公式サイト で過去問をPDFでダウンロードできる大学もあります。
- 国公立大学の場合は、「過去問請求フォーム」から郵送で取り寄せられるケースもあります。
つまり、すべての大学で赤本を買う必要はなく、受験予定の大学の過去問をどんな方法でも入手して演習することが重要です。
「赤本を買う=お金をかける」ことよりも、「過去問に触れる=合格への準備を進める」ことが本質です。
買うときのチェックポイント
- 最新版を選ぶ
出題傾向や配点が変更される大学もあるため、「◯年度版」を確認して購入しましょう。 - 中古本は慎重に
中古でも十分使えますが、最新の傾向が反映されていない場合があります。 - 複数大学を比較して選ぶ
書店で複数の赤本を開き、出題形式・科目・傾向を見比べると、自分に合う大学選びの参考にもなります。 - まずは1冊から
迷う場合は、第一志望校の赤本1冊から始めてみましょう。慣れてきたら併願校を追加購入すればOKです。
赤本を買った後の正しい使い方

赤本は「解いて終わり」の教材ではありません。
本当の価値は、分析と復習にあります。
ステップ1:傾向チェック
まずは実際に解く前に、以下を確認しましょう。
- 出題科目と配点
- 記述かマークか
- 時間配分・難易度
- 頻出分野(例:英語長文のテーマ・数学の分野など)
ステップ2:本格的な演習は夏〜秋以降
基礎学力が固まってから取り組むことで、過去問の“意味”が理解でき、復習も効果的になります。
1年分を解くたびに、「解けた理由」「間違えた原因」をノートにまとめましょう。
また、複数年度を比較して「よく出るパターン」を見つけると得点力が一気に伸びます。
ステップ3:間違い分析ノートを作る
自分専用の「弱点ノート」を作成するのがおすすめです。
特に英語長文や数学の証明問題は、解答プロセスを言語化すると理解が深まります。
この分析ノートは、直前期の復習にも非常に役立ちます。
赤本(過去問)は【いつからやる】べき?赤本を活用して合格をつかむための時期別使い方
赤本を買わなくてもいいケースはある?
もちろん、状況によっては無理に買う必要はありません。
- 志望校がまだ決まっていない場合
共通テスト過去問集(青本)で基礎演習を進めましょう。 - 大学公式サイトで過去問が公開されている場合
一部の国公立や私立大学は、PDF形式で過去問を閲覧・印刷できます。 - 模試判定で志望校を絞っている途中
模試結果を見ながら秋頃に購入しても十分間に合います。
まとめ:赤本は“時期より目的”で買うもの
赤本を買う時期は、「いつ」よりも「なぜ買うか」を明確にすることが大切です。
- 志望校が決まり、受験対策を本格化させたい → 夏〜秋に購入がベスト
- やる気を上げたい、出題傾向を早めに知りたい → 春から買ってもOK(ただし眺める程度に)
- 全部の大学の赤本を買う必要はない。第一志望+代表的併願校を中心に。
赤本は、単なる問題集ではなく「合格までの地図」。
1冊を丁寧に使い込むことで、確実に実力は伸びていきます。
迷ったら、まずは第一志望校の赤本を手に取りましょう。
その瞬間から、あなたの“本気の受験”が始まります。



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