小論文の書き方|原稿用紙の縦書きルールと正しい書き方のコツ「大学受験」
大学入試や看護学校などで課される「小論文」は、縦書きで提出するよう指定されることが多くあります。
しかし、実際に書く段階で——
「題名はどこから書くの?」「英単語や数字はどう扱えばいい?」「横書きと何が違うの?」
と戸惑う受験生も少なくありません。
本記事では、縦書き原稿用紙を使った小論文の正しい書き方と形式上の注意点を、例文付きで解説します。
形式面の減点を防ぎ、安心して内容に集中できるように準備しましょう。
1. 原稿用紙の縦書きと横書きの違いを理解しよう
まず、縦書きと横書きの最大の違いは「文章の流れ」と「表記方法」です。
縦書きは日本語の伝統的な表現方法であり、語彙力や書き言葉の美しさ、論理的な構成が重視されます。
| 項目 | 縦書き | 横書き |
|---|---|---|
| 文字の流れ | 上から下へ、右から左へ | 左から右へ、上から下へ |
| 数字の表記 | 漢数字(例:一、二、三) | アラビア数字(例:1、2、3) |
| 英単語の扱い | 原則使わない | 自然に使用可能 |
| 主な出題先 | 教育・看護・公務員・文系入試 | 理系・レポート型選抜 |
2. 原稿用紙(縦書き)の正しい使い方

縦書き原稿用紙では、題名・氏名・本文の配置ルールが明確に定められています。
整った見た目に仕上げることで、読みやすさと印象が大きく変わります。
2-1. 題名(タイトル)の書き方
- 原稿用紙の1行目、右端から3マス空けて4マス目から書き始める。
- 題名が長い場合は、2行に分けても問題ありません。
- 題名の後は1行空けて本文を始めます。
📘例:
(1行目)□□□「環境と人の共生」
(2行目)空ける
(3行目)□□現代社会において……
2-2. 受験番号・氏名・学校名の書き方
- 用紙に記入欄がある場合は、必ずその欄に正確に記入します。
- 記入欄がない場合は、以下のようにします。
【受験番号・氏名】
題名の下または左上に、受験番号を書いて1マス空け、氏名を記入します。
姓と名の間にも1マス空けると読みやすくなります。
【学校名】
正式名称で記入します。略称は避けましょう。
- 公立高校:〇〇県立△△高等学校
- 国立高校:国立△△高等学校
- 私立高校:〇〇県私立△△高等学校
- 北海道・宮城県・長野県の場合は「北海道△△高等学校」「宮城県△△高等学校」などと記します。
💡補足:
題名・学校名・受験番号・氏名は、文字数には含めないのが一般的です。
2-3. 本文の書き方と段落のルール
- 本文の書き出しは1マス空けて書く(字下げ)。
- 段落を変えるときは、改行して1マス空ける。
- 「、」「。」や括弧(「」)は1マスに1つずつ入れ、行の最初に来ないよう注意。
- 指定文字数(例:600字以内)は、‐10%以内を目安に収めましょう。
3. 数字・アルファベット・単位の正しい書き方(縦書きの注意点)
縦書きでは、数字や英単語の扱い方が減点対象になりやすいため、特に注意が必要です。
以下のルールを守ることで、形式面での評価を落とさずに済みます。
3-1. 数字の書き方
- 原則として漢数字(例:一、二、三、十、百)を使います。
- 数値を強調したい場合や複雑な計算式は、アラビア数字を縦に並べて書くこともありますが、一般的な小論文では避けましょう。
3-2. アルファベットの扱い
- 基本的には使わないのが原則です。
- ただし、アルファベットを使わないと意味が通じない語(例:AI、SDGsなど)は例外的に使用できます。
- 縦書きの場合はアルファベットも縦向きに書きます。
- 英単語や英文を書く場合は横に寝かせて書き、大文字は1マス、小文字やスペースは1マスに2文字入れます。
📘例:
AI → 縦に書く
book → 横に寝かせて1マスに2文字ずつ入れる
3-3. 単位や記号の書き方
- 単位(cm、kg、mLなど)やアルファベット記号は、片仮名で表記するのが基本です。
例:「センチメートル」「キログラム」「ミリリットル」 - 記号(%など)も「パーセント」と書きましょう。
4. 縦書き小論文の構成:序論・本論・結論を意識する
形式が整っていても、構成が曖昧では内容評価が上がりません。
小論文の基本構成は「序論→本論→結論」です。
| 構成 | 内容 | 文字数の目安 |
|---|---|---|
| 序論 | 問題提起・主張の提示 | 約100字 |
| 本論 | 理由・根拠・具体例 | 約300〜400字 |
| 結論 | まとめ・提案 | 約100字 |
例文(テーマ:地域社会とボランティア)
近年、地域社会における人とのつながりが希薄になっていると言われている。その中で、ボランティア活動は人と人を結び付け、社会を温かくする重要な取り組みである。
私は高校時代、地域の清掃活動に参加したことがある。最初は義務的に感じていたが、活動を通して地域の方々から「ありがとう」と声をかけられた瞬間、地域に貢献する喜びを感じた。
ボランティア活動は、自分のためであり、同時に社会のためにもなる。今後も小さな行動を積み重ね、地域の一員として支え合う社会づくりに貢献していきたい。
5. 減点されやすいNG例と注意点

- 段落を作らず、文章が一続きになっている
- 横書きのルールを混ぜてしまう
- 数字をアラビア数字で書く(→漢数字に)
- アルファベットを多用する
- 文体が混在(「です・ます」と「である」調の併用)
🧭チェックリスト:
- 題名・段落・句読点位置を確認
- 漢数字とカタカナ表記を統一
- 清書前に声に出して読み直す
6. 読みやすく印象の良い小論文にするコツ
- 一文を短く(40〜60字以内)
- 接続詞を適度に使用(しかし、一方で、つまり)
- 段落ごとに1つの主張をまとめる
- 文字の大きさ・整列を意識
- 清書時は丁寧に、誤字・脱字を防ぐ
7. 効果的な練習方法
- 過去問を使う:テーマと文字数の感覚を掴む
- 添削を受ける:構成や文法の誤りを客観的に修正
- ChatGPTで構成練習:テーマを入力し、骨格を生成→自分の言葉に書き直す
- 縦書きで練習:実際の原稿用紙を使い、縦書きの感覚に慣れる
まとめ:縦書きは「丁寧さ」と「統一感」が評価の鍵
縦書き小論文では、形式の整え方が第一印象を左右します。
正しい字下げ・段落・句読点、そして数字やアルファベットの扱いを守ることで、読みやすく品のある文章になります。
- 題名・氏名・段落の位置を整える
- 漢数字・カタカナ単位を使う
- アルファベットは最小限に
- 序論→本論→結論の流れを意識する
これらを意識すれば、縦書きでも自信を持って提出できる小論文が完成します。
小論文の書き方|原稿用紙の横書きルールと見やすい書き方のコツ 「大学受験」
私は、新卒から約20年大手大学受験予備校の職員として働いておりました。現役生や浪人生、国公立医学部を受験する生徒から私立文系を受験する生徒まで、数千名の生徒と向き合ってきました。受験校の相談や学習方法の相談、受験勉強の息抜きなどさまざまな相談、時には生徒から教えてもらうことも。今までの経験を少しでも受験生に役立つ情報をお届けできたらと思っています。



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