アドミッションポリシーを面接でどう答える?失敗しない回答例と考え方を解説
大学入試の面接で「本学のアドミッションポリシーを踏まえて自己PRしてください」と言われ、どう答えればいいか悩んだことはありませんか?
特に総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜では、大学が掲げるアドミッションポリシー(入学者受け入れ方針)への理解と共感が、合否を大きく左右します。
しかし実際には、
- 「アドミッションポリシーの意味がよくわからない」
- 「大学の方針と自分の経験をどうつなげればいいの?」
と迷う受験生が多いのも事実です。
本記事では、面接でアドミッションポリシーをどう答えれば良いかを、考え方・準備のステップ・回答例・NG例を交えて解説します。
アドミッションポリシーとは?まず“意味”を正しく理解しよう
アドミッションポリシー(Admission Policy)とは、大学が「どんな学生を受け入れたいか」を明示した方針のことです。
これは単なるスローガンではなく、教育理念や人材育成の方向性をもとに作られた大学の“価値観”です。
たとえば、大学のホームページを見ると、次のような表現がよくあります。
| 学部 | アドミッションポリシーの例 |
|---|---|
| 教育学部 | 「地域社会に貢献し、他者と協働して学ぶ意欲を持つ人」 |
| 看護学部 | 「思いやりの心を持ち、チーム医療に貢献できる人」 |
| 経済学部 | 「社会の課題を主体的に解決しようとする意欲のある人」 |
| 情報学部 | 「論理的思考力を持ち、探究心をもって課題に取り組む人」 |
つまり、アドミッションポリシーを理解することは、
「この大学はどんな価値観を持つ学生を求めているのか?」を読み解くことにほかなりません。
面接で問われる理由:「大学との相性」を見ている

大学側が面接でアドミッションポリシーを問うのは、単に知識や学力を測るためではありません。
目的は、あなたが大学の理念に共感し、その環境で成長できる人かどうかを確認することにあります。
面接官は次のようなポイントを見ています。
| チェック項目 | 意図 |
|---|---|
| 理解力 | 大学の方針を自分なりに理解できているか |
| 共感性 | その理念に心から共感しているか |
| 一貫性 | 志望理由書や自己PRと内容がずれていないか |
| 主体性 | 自分の言葉で語れているか |
したがって、答えるときは「大学の理念を知っている」だけでは不十分です。
“自分の経験”と“大学の方針”を結びつける力こそが評価されるのです。
面接で失敗しない!アドミッションポリシー回答の作り方4ステップ
アドミッションポリシーに関する質問は、一見抽象的ですが、実は“構造”があります。
以下の4ステップに沿って考えれば、誰でも自然に答えられるようになります。
① 公式サイトでアドミッションポリシーを読む
まずは、志望大学の公式サイトで「アドミッションポリシー」を確認しましょう。
長文で書かれている場合が多いので、キーワードを抜き出すのがコツです。
例:「探究心」「協働」「地域貢献」「実践力」「グローバルな視点」など
3〜4個のキーワードをメモし、それを軸に自分の経験と照らし合わせます。
② 自分の経験と共通点を探す
次に、「そのキーワードを自分がどう体現してきたか」を考えましょう。
たとえば「協働」を重視する大学なら、チームで頑張った経験が使えます。
例:「文化祭実行委員で仲間と意見を出し合いながらクラスをまとめた」
「部活で後輩の育成に取り組み、チーム全体の士気を高めた」
大学の方針と自分の経験が“リンク”した瞬間に、答えの核ができます。
③ その経験を具体的に語る
面接では「何をしたか」よりも「どう考えて行動したか」が重要です。
抽象的な説明ではなく、エピソード+思考プロセスを入れることで印象が格段に良くなります。
×「部活を頑張りました」
◎「試合に負けた悔しさから、戦略を分析して練習メニューを改善しました。チームで目標を共有することの大切さを学びました。」
④ 入学後・将来の目標で締める
最後に、「その理念のもとで自分はどう成長したいか」を語りましょう。
「大学の学びと自分の将来」が自然につながるように意識します。
例:「貴学の“地域貢献”という理念に共感し、教育ボランティアで学んだ経験を活かして、地域の子どもたちに学ぶ楽しさを伝えたいです。」
【回答例】アドミッションポリシーに基づいた面接回答例

ここでは、学部別に想定される模範回答を紹介します。
面接対策ノートにそのまま書き写して練習するのもおすすめです。
教育学部の場合
私は地域の子どもたちに勉強を教えるボランティア活動を続けてきました。
この経験から、学ぶ楽しさを伝えることの大切さを実感しました。
貴学の「地域とともに成長する教育者を育てる」という方針に共感し、入学後は地域教育プロジェクトにも積極的に参加したいと考えています。
看護学部の場合
ボランティアで高齢者施設を訪問した際、患者さんの話を聞く時間の大切さを学びました。
貴学の「思いやりの心を持ち、チームで協働できる人材を育てる」という理念に共感し、チーム医療に貢献できる看護師を目指しています。
情報学部の場合
高校のプログラミング部で仲間とアプリ開発に取り組む中で、問題を分析し解決策を探る力を養いました。
貴学の「創造的な課題解決力を持つ学生を育成する」という方針に共感し、AIを活用して社会の課題を解決する研究に挑戦したいです。
経済学部の場合
商店街の地域イベントに参加した経験から、経済活動が人と人をつなげる力を持つことを学びました。
貴学の「地域社会の発展に貢献できる人材を育成する」という方針に共感し、入学後は地域経済の活性化について研究したいです。
NG回答例と改善ポイント
| NG例 | 問題点 | 改善例 |
|---|---|---|
| 「ホームページを見て共感しました。」 | 抽象的すぎて根拠がない | 「“地域連携”という理念に共感し、地元でボランティア活動を続けています。」 |
| 「大学の設備が整っているから志望しました。」 | 方針と関係がない | 「貴学の“実践的な学び”に魅力を感じ、実際のフィールドで学びたいと考えています。」 |
| 「入学してから頑張ります。」 | 具体性がなく印象が弱い | 「高校時代から地域活動を続けており、その経験を発展させたいと考えています。」 |
アドミッションポリシー面接の失敗は、「理解不足」「抽象的」「他人事」の3つに集約されます。
“自分の言葉”で具体的に語ることを意識しましょう。
自己PR・長所短所との一貫性も重要!
アドミッションポリシーを踏まえた回答は、自己PRや長所短所と一貫していることが理想です。
なぜなら、面接官は「この学生は大学の方針に合っているか」を総合的に判断するからです。
一貫性を持たせるコツ
- 自己PRで強調した“長所”を、アドミッションポリシー回答でも活かす
- 長所・短所を答えるときも、大学の求める人物像に近い表現を選ぶ
- すべての質問で「自分がどう大学に合うか」を意識する
👉 自己PR・長所短所の答え方はこちらも参考にどうぞ。
面接終盤の「質問はありますか?」もチャンスに変える

面接の最後に必ず聞かれるのが、「何か質問はありますか?」という一言。
ここでもアドミッションポリシーに沿った質問をすれば、印象がさらに良くなります。
良い質問の例
- 「地域連携のプログラムではどのような活動ができますか?」
- 「貴学が重視する“協働”を実践できる授業はありますか?」
- 「チームで取り組む授業の中で、どんな力が身につきますか?」
大学の教育理念に関心を持っている姿勢を見せることで、主体的な印象を与えられます。
👉 質問例やNG例はこちらの記事で解説しています。
→ 【例文あり】大学入試の面接で「質問はありますか?」と聞かれたときの答え方
面接官が高評価をつける学生の特徴
面接官は、「方針に沿って自分を表現できるか」を見ています。
評価のポイントを整理すると以下の通りです。
| 観点 | チェック内容 |
|---|---|
| 理解力 | 大学の理念・方針を自分の言葉で説明できるか |
| 一貫性 | 他の質問(自己PR・志望理由)との整合性 |
| 主体性 | 入学後にどのように学びたいかが明確か |
| 表現力 | 簡潔で分かりやすい話し方ができるか |
| 共感性 | 教育理念への関心と熱意が伝わるか |
まとめ:アドミッションポリシーを面接でどう答える?失敗しない回答例と考え方を解説
アドミッションポリシーとは、大学が「こんな学生を育てたい」という“約束”です。
そして、面接で問われるのは、その約束にあなたがどのように応えるか。
失敗しないためのポイントを最後にまとめます。
- 公式サイトでアドミッションポリシーを読み、キーワードを抜き出す
- 自分の経験を通して“理念を体現している”ことを伝える
- 入学後の目標を明確に語る
- 自己PR・長所短所・逆質問と一貫性を持たせる
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私は、新卒から約20年大手大学受験予備校の職員として働いておりました。現役生や浪人生、国公立医学部を受験する生徒から私立文系を受験する生徒まで、数千名の生徒と向き合ってきました。受験校の相談や学習方法の相談、受験勉強の息抜きなどさまざまな相談、時には生徒から教えてもらうことも。今までの経験を少しでも受験生に役立つ情報をお届けできたらと思っています。


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