心理学部はやめとけ?進学で後悔しないために知っておくべき現実と将来性
「心理学部 やめとけ」——心理学に興味はあるけれど、本当に進学しても大丈夫なのか、進路や就職に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
確かに、ネット上では「資格が取れない」「就職に弱い」「文系の滑り止め」といった否定的な声も見かけます。
そこで本記事では、心理学部が「やめとけ」と言われる理由を正直に解説しつつ、向いている人・向いていない人の特徴、進学後の進路、心理学部が有名な大学までを詳しく紹介します。
心理学を学びたい気持ちが本物かどうか、判断する材料にしてください。
心理学部とは?学ぶ内容と特徴
心理学部(心理学科)では、人間の「心」と「行動」のメカニズムを科学的に解明することを目的とした学問を学びます。
主な領域としては以下のようなものがあります:
- 臨床心理学(カウンセリング・精神療法など)
- 発達心理学(子ども・教育に関する心理)
- 認知心理学(記憶・思考・感覚など)
- 社会心理学(集団行動、コミュニケーション)
- 産業・組織心理学(企業や職場での人間関係)
近年では、AIやマーケティングに応用される心理統計・行動分析も注目を集めています。
心理学部はやめとけと言われる5つの理由

1. 就職に強くないと言われがち
心理学部は「専門性が高い=就職に強い」と思われがちですが、学部卒のままだと心理の専門職に就くのはほぼ不可能です。
臨床心理士や公認心理師になるには、大学院への進学+資格取得が必要不可欠。
学部卒での一般就職は、他の文系学部と同様の扱いになってしまうことが多いです。
2. 資格取得にはハードルが高い
「公認心理師になりたい」と思って心理学部に進学しても、以下のような条件を満たす必要があります:
- 指定大学(カリキュラム対応済)を卒業
- 指定大学院に進学
- 実習や講義をすべて修了
- 公認心理師試験に合格
大学選びと学修計画を間違えると、国家資格の受験すらできないということもあり得ます。
3. 「人の心が読めるようになる」と誤解されがち
心理学はあくまで「科学」です。
エスパーのように心が読めるようになるわけではありませんし、「人間関係に強くなる」「恋愛に使える」といった内容はむしろ一部に過ぎません。
このような軽い動機で入学してしまうと、「思ってたのと違う」とギャップに苦しむ可能性が高いです。
4. 実験・統計・レポートが意外とハード
心理学部では、実験心理学や心理統計、SPSSなどの解析ツールを使ったレポート作成が必須です。
理系的な作業や数字への苦手意識があると、挫折するケースもあります。
「文系だから楽そう」という印象で入ると、ギャップに驚くことになります。
5. 専門職になっても収入が高いとは限らない
臨床心理士や公認心理師などの資格を取得しても、勤務先によっては非常勤・契約職員として年収300万円以下というケースも珍しくありません。
また、独立して開業カウンセラーになるには実績と営業力が必要で、安定するまでに時間がかかります。
心理学部に向いていない人の特徴

次のような方は、心理学部進学を再検討したほうがいいかもしれません。
- 「人の心を操りたい」「モテたい」などの軽い動機
- 数字や統計に強くない、論文が苦手
- 大学院に進学する気がまったくない
- 短期で結果を出したい性格
- 高収入や即戦力を重視している
心理学は「人を深く理解する」学問ですが、“自分の都合で相手を操作したい”という発想では成果を出せません。
心理学部でも将来性はある?代表的な進路と職種

一方で、心理学部で学んだ知識やスキルは、うまく活かせば就職や専門職に繋がる強みになります。
心理学部の主な進路例
分野 | 職種例・進路 |
---|---|
医療・福祉 | 公認心理師、臨床心理士、精神保健福祉士 |
教育・支援 | スクールカウンセラー、教育相談員 |
ビジネス・企業 | 人事・採用・組織開発、マーケティング分析 |
公務員 | 心理職公務員(少年院、児童相談所など) |
一般企業 | 営業、販売、広報など文系職全般 |
特に最近は、「心理+データ分析」「心理+マーケティング」のように、心理学を実務で応用するキャリアが増えてきています。
心理学部に向いている人の特徴

- 相手の立場に立って物事を考えられる
- 対話・観察・分析が好き
- 数字や理論に抵抗がない
- 研究や実験、論文に興味がある
- 長期的に人と関わる仕事に魅力を感じる
これらに当てはまる人にとって、心理学は人生を豊かにする学問になる可能性があります。
心理学部で後悔しないための3つの戦略

① 国家資格対応のカリキュラムがある大学を選ぶ
「指定校」でないと公認心理師の受験資格が得られません。進学先は要チェック。
② 大学院進学を前提に学修計画を立てる
心理職を目指すなら大学院進学はほぼ必須。奨学金や進学率も事前に確認しておきましょう。
③ 民間企業での応用スキル(統計・マーケティング)も身につける
心理統計・データ分析・消費者行動心理など、実務に活かせるスキルも意識的に学びましょう。
心理学部が有名な大学はどこ?

心理学部・心理学科は文系・理系問わず設置されており、大学によって研究内容や就職支援の方針も異なります。
【国公立大学】
大学名 | 特徴 |
---|---|
京都大学(教育学部心理学系) | 臨床・基礎心理どちらも強い。研究・大学院進学率が高い。 |
東京大学(教育学部心理学専修) | 心理学を科学的に扱う。認知・発達・教育心理に強み。 |
北海道大学(文学部心理学講座) | 幅広い心理領域を網羅。大学院での専門研究に適する。 |
筑波大学(人間学群心理学類) | 行動・神経・教育・臨床の融合。設備や実習体制も充実。 |
【私立大学】
大学名 | 特徴 |
---|---|
立教大学 | 心理学部を設置。公認心理師対応。実習・臨床にも強み。 |
明治大学 | 心理学専攻があり、教育・産業心理にも力を入れている。 |
関西学院大学 | 大学院含め心理職養成に注力。実習先との連携が豊富。 |
東京福祉大学 | 公認心理師対応の実習カリキュラムが整備。通信制もあり。 |
まとめ|心理学部はやめとけ?自分の目的次第で「やってよかった」に変わる
心理学部は確かに、「やめとけ」と言われるだけのリスクがあります。就職の難しさ、資格取得のハードル、専門職の収入など、甘い考えでは通用しない世界です。
しかしその一方で、人を深く理解するスキル・対話力・分析力は、どの業界でも求められる重要な資質でもあります。
「何のために心理学を学ぶのか」「どんな職業に就きたいのか」が明確であれば、心理学部進学は意味のある選択になります。
“なんとなく”ではなく、“なぜ心理学なのか”を突き詰めてから進路を決めましょう。それが後悔しない第一歩です。
私は、新卒から約20年大手大学受験予備校の職員として働いておりました。現役生や浪人生、国公立医学部を受験する生徒から私立文系を受験する生徒まで、数千名の生徒と向き合ってきました。受験校の相談や学習方法の相談、受験勉強の息抜きなどさまざまな相談、時には生徒から教えてもらうことも。今までの経験を少しでも受験生に役立つ情報をお届けできたらと思っています。
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