京都外国語大学は【Fラン】なのか?ネット上で「Fラン」「恥ずかしい」と言われている理由を考察
近年、ネット上では「○○大学 Fラン」「この大学 恥ずかしい」といった言葉が飛び交うことがあります。
京都外国語大学についても、「Fラン」「恥ずかしい」といった声が一部で見られます。
しかし、こうした意見は本当に正しいのでしょうか?
本記事では、京都外国語大学がなぜ「Fラン」「恥ずかしい」と言われているのか、実際のデータや背景をもとに冷静に分析していきます。
京都外国語大学がFランと言われているのは定員割れといううわさがあるから
「Fラン」と呼ばれる大学の特徴の一つとして、定員割れ=受験者が少なく合格しやすいというイメージがあります。
では、京都外国語大学の入試倍率を見てみましょう。
- 2024年度 全選抜合計倍率
・外国語学部:1.1倍
・国際貢献学部:1.2倍 - 2023年度
・外国語学部:1.2倍
・国際貢献学部:1.4倍
確かに倍率は高くありませんが、定員割れはしていません。
一般入試・総合型選抜・学校推薦型選抜などを通じて、必要な学生数は確保されています。
「倍率が低い=Fラン」という考えは短絡的と言えるでしょう。
京都外国語大学は就職できないと言われて恥ずかしい

「Fランだから就職できない」「就職できない大学は恥ずかしい」という声もありますが、これも事実とは異なります。
京都外国語大学の2024年3月卒業生の就職率は98.0%(就職希望者に対する就職者数)と非常に高い水準です。
就職に力を入れていることが、この数字からも明らかです。
また、企業側にとっても語学力を持つ学生は重宝されます。
英語だけでなく、スペイン語、フランス語、中国語など多言語を学んだ学生は、グローバルなビジネスの場で活躍できる人材として評価されています。
京都外国語大学がFランと言われているのは国内不況が原因

近年、日本国内ではコロナ禍や円安の影響で留学市場が冷え込みました。
京都外国語大学のように「語学」や「国際貢献」を看板にしている大学にとっては、大きな逆風となりました。
以下は、大学生などの留学数の推移です。
- 2019年度:減少傾向に転じる
- 2020年度:前年比98%減少
- 2021年度:10,999人(前年比約640%増)
- 2022年度:58,162人(前年比約430%増)
このように、留学は徐々に回復しつつありますが、コロナ前の水準にはまだ届いていないのが現状です。
出典:トビタテ!留学JAPAN 公式サイト
つまり、語学系大学全体が苦戦している時期であり、京都外国語大学だけの問題ではありません。
「Fラン」と呼ばれる背景には、こうした社会情勢も影響しているのです。
京都外国語大学とは

京都外国語大学(略称:京外大)は、1947年に創立された外国語教育に特化した私立大学で、京都市右京区にキャンパスを構えています。
「言語を学ぶことで世界とつながる」「異文化理解を深め、国際社会に貢献できる人材の育成」を理念としており、語学力だけでなく、実践的な国際感覚を養う教育が特徴です。
京都外国語大学は、外国語学部と国際貢献学部の2つの学部を設置し、それぞれ特色ある教育を提供しています。
外国語学部
1959年に設置された外国語学部では、以下の8つの学科があり、計720名の定員となっています。
- 英米語学科(定員350名):実践的で高度な英語運用能力と専門的な知識を兼ね備えた英語のプロフェッショナルを育成します。
- スペイン語学科(定員60名):世界20か国以上で使用されているスペイン語の語学力を磨き、多様で豊かなスペイン語圏の文化を学びます。
- フランス語学科(定員45名):美しい響きを持つフランス語の運用能力を高め、その背景にある豊かな文化に触れます。
- ドイツ語学科(定員45名):ヨーロッパで広く話されているドイツ語を学び、ヨーロッパでの活躍の機会を広げます。
- ブラジルポルトガル語学科(定員45名):ポルトガル語圏の政治・経済・文化に精通し、高度なポルトガル語を駆使できる人材を育てます。
- 中国語学科(定員60名):国連の公用語でもあり、世界の5人に1人が話す中国語の運用能力を高めます。
- 日本語学科(定員50名):日本語教師やマスコミなどで活躍できる日本語のプロフェッショナルを育成します。
- イタリア語学科(定員45名):実践重視の授業で、イタリア語のスペシャリストを育成します。
- ロシア語学科(定員20名):ロシアや周辺地域の多様性を理解し、新しい観点から世界の課題解決を図る人材を育成します。
国際貢献学部
2018年に設置された国際貢献学部では、以下の2つの学科があり、計220名の定員となっています。
- グローバルスタディーズ学科(定員100名):留学生をはじめ多様なバックグラウンドを持つ学生と英語で学び、デジタル技術、グローバルビジネス、政治、経済、国際協力の知識を身につけ、急激に変化するグローバル社会に対応できる「多文化共生実現力」を備えた人材を育成します。
- グローバル観光学科(定員120名):世界中の人々が交流し理解し合う「多文化共生」のための活動を「観光学」として修得し、社会科学としての観光学を探求します。留学生とのグループワークやディスカッション、データ科学や最新のデジタル技術、「ほんものの京都」を学ぶことで、観光分野で活躍できる人材を育成します。
これらの学部・学科を通じて、京都外国語大学は語学力と国際的な視野を持ち、グローバル社会で活躍できる人材の育成を目指しています。
留学・国際交流プログラム
京都外国語大学は、世界約50か国・200校以上と提携しており、留学制度が非常に充実しています。
主な制度は以下の通りです。
- 長期留学(半年~1年)
- 短期語学留学(夏・春休みなどを利用)
- 海外インターンシップ
- 海外ボランティア
- ダブルディグリー(学位取得可能な提携プログラム)
留学前後の語学サポート、奨学金制度、現地生活支援などの体制も整っており、初めての海外でも安心して挑戦できます。
また、キャンパス内には外国人留学生との交流スペース「グローバルコモンズ」もあり、日常的に異文化と触れ合える環境が整備されています。
京都外国語大学の偏差値は

偏差値を見ると、確かに難関大学と比べると高くはありません。
- 外国語学部:偏差値35.0~45.0
- 国際貢献学部:偏差値45.0~47.5
ただし、「偏差値が低い=価値がない」というわけではありません。語学を学ぶ意欲が高く、明確な目標を持った学生にとっては、目的に合った学びができる大学と言えるでしょう。
卒業生の就職先は

京都外国語大学の卒業生は、語学力を活かした多様な分野で活躍しています。
以下は主な就職先の一例です。
- 外国語学部:リクルート、LIXIL、Apple Japan、全日本空輸(ANA)、日本航空(JAL)、JR西日本、京都信用金庫、京都ホテル など
- 国際貢献学部:ワコール、UCC上島珈琲、東芝、帝国ホテル、ルイ・ヴィトンジャパン など
大手企業や外資系企業、観光・航空・ホテル業界に強みを持っていることがわかります。
語学力を武器に、多くの卒業生がグローバルな舞台で活躍しているのです。
まとめ:京都外国語大学は【Fラン】なのか?ネット上で「Fラン」「恥ずかしい」と言われている理由を考察
京都外国語大学が「Fラン」「恥ずかしい」と言われる理由を探ってきましたが、実際のデータを見るとそのような評価は的外れであることがわかります。
- 定員割れはしていない
- 就職率は98%と高い
- 偏差値は高くはないが、目的意識のある学生には良い環境
- 留学を取り巻く環境は全国的な問題であり、同大学に限った話ではない
- 卒業生は大手企業にも就職している
「Fラン」というラベルに惑わされず、自分に合った学びや将来のビジョンに基づいて大学を選ぶことが何より重要です。
語学に興味があり、国際的なフィールドで活躍したいと考える方にとって、京都外国語大学は十分に選択肢になりうる大学です。
私は、新卒から約20年大手大学受験予備校の職員として働いておりました。現役生や浪人生、国公立医学部を受験する生徒から私立文系を受験する生徒まで、数千名の生徒と向き合ってきました。受験校の相談や学習方法の相談、受験勉強の息抜きなどさまざまな相談、時には生徒から教えてもらうことも。今までの経験を少しでも受験生に役立つ情報をお届けできたらと思っています。
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