外国語学部・外国語大学の人気が回復?外国語大学に進学するメリットデメリット
近年、日本の大学で外国語学部の人気が回復傾向にあります。その理由は、主に以下の理由があります。
1. グローバル化の進展
近年、経済や文化など様々な分野においてグローバル化が進んでおり、国際的なコミュニケーション能力がますます重要になっています。そのため、海外企業で働いたり、国際機関で活躍したりするために、外国語を習得したいと考える学生が増えています。
2. 訪日外国人観光客の増加
2019年には、訪日外国人観光客数が3,188万人を記録し、過去最高を更新しました。観光業の発展に伴い、外国人観光客と接する機会が増え、外国語を活かせる仕事に興味を持つ学生が増えています。
3. 英語教育改革
2020年から、大学入試における英語民間試験の導入が開始されました。英語でのコミュニケーション能力が重視されるようになり、英語力を高めたいと考える学生が増えています。
コロナの影響
留学の制限: 2020年~2021年にかけて、多くの大学で留学プログラムが中止または延期されました。留学は外国語学部における重要な学習プログラムの一つであるため、これが人気低下の要因の一つとなりました。
就職不安: コロナの影響による経済が停滞し、就職不安が高まりました。特に、語学力を活かせる観光業やサービス業などの就職が困難になり、外国語学部の人気低下の要因となりました。
現在は
ローバル化の進展: コロナ禍であっても、経済や文化などのグローバル化は依然として進展しています。そのため、将来的に国際的なコミュニケーション能力が求められることは変わらず、外国語学部の重要性は依然として高いです。
留学プログラムの再開: 2022年以降、多くの大学で留学プログラムが再開されています。留学の再開により、外国語学部の魅力の一つである海外経験を積むことができるようになり、人気回復に繋がっています。
外国語学部は総合大学と単科大学がある

日本の大学の外国語学部が設置されている大学は総合大学と単科大学があります。総合大学は、多様な学問分野をカバーし、文学や理学、工学、法学、医学など幅広い学部を持つ大学です。一方、単科大学は、特定の学問分野に特化した大学です。例えば、外国語大学、医科大学、芸術大学などがあります。
総合大学と単科大学の違い
総合大学と単科大学の違いについて説明します。
総合大学
定義: 総合大学は、多くの学部・学科を有し、幅広い分野の教育・研究を行う大学です。
特徴
- 学部・学科の多様性
- 複数の学部(例: 文学部、理学部、工学部、医学部など)があり、さまざまな分野の専門教育を提供しています。
- 幅広いカリキュラム
- 学生は自分の専攻だけでなく、他学部の科目を履修することができるため、幅広い知識を身につけることができます。
- 研究の多様性
- 多様な学問分野にわたる研究が行われており、学際的な研究やプロジェクトも多いです。
- 施設の充実
- 大規模なキャンパス、図書館、研究施設、スポーツ施設などが整備されています。
- 交流の機会
- 多様な分野の学生や教員との交流が可能で、異なる視点や知識を得る機会が豊富です。
- 進路の柔軟性
- 学生は複数の分野を学ぶことができるため、進路選択の幅が広がります。
単科大学
定義: 単科大学は、特定の学問分野に特化して教育・研究を行う大学です。例としては、外国語大学、医科大学、芸術大学などがあります。
特徴
- 専門性の高さ
- 特定の学問分野に特化しているため、深い専門知識と技能を身につけることができます。
- 集中したカリキュラム
- 専門分野に特化したカリキュラムが組まれており、その分野における高度な教育が行われます。
- 教授陣の専門性
- 教員もその分野の専門家であり、質の高い教育と研究指導が受けられます。
- 学びの環境
- 学生全員が同じ分野に興味を持っているため、学習環境が一貫しており、専門分野に集中して学べます。
- 進路の特化
- 卒業後の進路が特定の業界や職種に特化しているため、専門職への就職が有利になることがあります。
- コミュニティの一体感
- 小規模な大学が多いため、学生間や教員との距離が近く、強いコミュニティの一体感が生まれます。
比較まとめ
特徴 | 総合大学 | 単科大学 |
学部・学科の数 | 多い | 少ない(特定分野に特化) |
カリキュラムの幅広さ | 幅広い | 専門分野に特化 |
研究の多様性 | 高い | 特定分野に集中 |
施設 | 充実している | 規模が小さいことが多い |
進路の柔軟性 | 高い | 特定分野に特化 |
専門性 | 広範な知識を得やすい | 深い専門知識を得やすい |
どちらの大学が適しているかは、学生の興味やキャリア目標によります。幅広い知識を身につけたい場合や、複数の分野に興味がある場合は総合大学が適しています。一方、特定の分野に強い興味があり、その分野で専門的な教育を受けたい場合は単科大学が適していると一般的に言われています。
外国語大学(単科大学)に進学するメリットデメリット

外国語大学(単科大学)に進学するメリットデメリットは下記のとおりです。
メリット
- 専門性の高い教育
- 外国語に特化したカリキュラムで、深い専門知識と高度な言語能力を身につけることができます。
- 集中した学習環境
- 学生全員が外国語学習に集中しているため、学習意欲が高まり、効率的に学ぶことができます。
- 留学プログラムの充実
- 外国語の習得を目的とした留学プログラムが豊富で、実地での言語使用経験を積むことができます。
- 多文化理解の深化
- 外国語だけでなく、その文化や歴史についても学ぶことで、国際的な視野と多文化理解を深めることができます。
- 専門職への就職の強み
- 外国語の専門知識を活かして、通訳・翻訳業界や外資系企業などでのキャリア形成がしやすいです。
デメリット
- 他分野との接点の少なさ
- 他の学問分野との交流機会が限られるため、幅広い知識や視野を身につける機会が少ないことがあります。
- 進路の限定性
- 外国語に特化した学び方であるため、他の分野への進路が制限されることがあります。
- キャンパスライフの制約
- 大学全体の規模が小さい場合が多く、クラブ活動や学外活動の選択肢が少ないことがあります。
- 専門性の過剰
- 専門分野に過度に特化しすぎて、他の分野の知識やスキル(資格)の獲得が難しくなる可能性があります。
外国部学部卒業生の主な就職先

外資系企業
- 外国語の能力が求められる多国籍企業や外資系企業での就職が一般的です。例えば、通訳・翻訳、国際営業、マーケティング、国際関係などの職種があります。
公務員
- 国際機関や外交官、外交官補など、外国語能力が重要視される公務員の職種もあります。
教育機関
- 外国語教育に携わる教員や教育関連の職種での就職が可能です。
メディア・出版業界
- 翻訳、国際取材、外国語メディアの制作など、メディアや出版業界でのキャリアが考えられます。
観光業
- 外国人観光客とのコミュニケーションが求められる観光業界での職種もあります。
非営利団体やNGO
- 国際協力、国際交流、国際人権、人道支援など、外国語能力が活かせる活動に従事する職種があります。
外国語学部を卒業することで得られる語学力や国際的な視野は、さまざまな業界や職種で活かすことができるため、幅広い就職先が選択肢としてあります。
私は、新卒から約20年大手大学受験予備校の職員として働いておりました。現役生や浪人生、国公立医学部を受験する生徒から私立文系を受験する生徒まで、数千名の生徒と向き合ってきました。受験校の相談や学習方法の相談、受験勉強の息抜きなどさまざまな相談、時には生徒から教えてもらうことも。今までの経験を少しでも受験生に役立つ情報をお届けできたらと思っています。
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